研究・考察
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【Frieren】フリーレン【千年以上生きた魔法使い】

藤咲
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 1000年以上生きたエルフの魔法使い。師匠はフランメ。

 クヴァールの開発した「人を殺す魔法(ゾルトラーク)」の研究解析に大きく貢献し、史上最も多くの魔族を倒して「葬送のフリーレン」の二つ名を得た。史上最も多くの迷宮を攻略したパーティの一員でもある。

 CVは種﨑敦美(たねざき・あつみ)さん。

フリーレンの公式プロフィール
  • 種族:エルフ
  • 職業:魔法使い
  • 資格:聖杖の証
  • 好きなもの:メルクーアプリン、魔導書
  • 嫌いなもの:タマネギ
  • 趣味:魔法の収集

 「フリーレン」のドイツ語での主な意味は「凍える」で、全体として冷たい印象の単語です。

 フランメの師でもあるゼーリエには「歳のわりに技術が甘い」と言われています。自身より魔力の低い相手に11回負けたことがあります。

フリーレンの略歴

故郷を滅ぼされる

 暮らしていた集落を魔族に襲撃され、ただひとり生き残ります。けれどもその際に、魔族の将軍である「玉座のバザルト」を倒しました。

 死にかけていたところをフランメに助けられ、フランメの弟子となります。そしてこの頃から、魔族を欺くために、放出する魔力を制限し続けています。

放浪時代

 フランメの死後、魔族を倒しながら放浪を続けます。

 黄金郷のマハトと対峙した際に、呪いを受けて片腕を黄金にされてしまい敗走。回復に100年を要し、そのときから500年以上、魔族との戦いを行っていませんでした。

 また、マハトとフリーレンは「人間の感情を知りたい」という軸をもとに、「対比」の関係にあるキャラ同士だと考えます。

ヒンメルたちと魔王討伐の旅へ

 長いときを経て、勇者ヒンメルの誘いを受けて魔王討伐の旅に出る決意をします。なおその前に南の勇者にも出会っており、旅に出る予言を受けています。

魔王討伐後はふたたび放浪の旅へ

 魔王討伐後、再び魔法収集の旅に出ます。

 そしてさらに50年後、ヒンメルの死を受けて、人を知るための旅に出ることを決意するのです。

「フリーレンを殺す者」は現れるか

 ゼーリエから1000年も前に言われた「お前を殺す者がいるとすれば、それは魔王か人間の魔法使いだ」という言葉。

 魔王も倒し、「人間の時代」がやって来た現在。

フェルンがフリーレンを倒す?

 物語の構成的に、もし「フリーレンを殺す者」が人間にいるとすれば、フェルンの可能性があります。

 序盤でアインザームが作り出したヒンメルの幻影は、フリーレンに「(自分を)撃て」と言い、フリーレンも納得して撃ちました。

 これと同じシーンが、現実のフリーレンとフェルンの間で繰り返される日が来るのではないかと想像しています。

 ただ物語全体の構成を考えると、年老いたフェルンをフリーレンが看取る可能性の方が高いと思います。

 一方で、最終的にフェルンはフリーレンを倒せるほどの実力者になる、のも確定事項です。

 「零落の王墓」ではシュピーゲルのつくりだしたフリーレンの複製体に、フリーレンとフェルンが応戦して辛勝しました。

 シュピーゲルのつくりだしたフリーレンの複製体と戦い勝てなかった、というエピソードは、未来のフェルンへの宿題のようなものになったと考えます。

マハトとデンケンの関係と対の構図になっている?

 黄金郷のマハトとデンケンとの戦いでは、弟子であるデンケンが勝利しました。

 マハトとデンケンの「師弟関係」は、「心のつながりの有無」という点でフリーレンとフェルンの「師弟関係」とは異なっています。

 マハトとフリーレンは「人間の感情を知りたい」という軸をもとに、対比となる存在です。

 そして師弟対決という点で、「マハトとデンケン」「フリーレンとフェルン」は、対の構図になっていると考えてもいいように思います。

英語表記について

 「断頭台のアウラ編」でリュグナーが「思い出した」「『葬送のフリーレン』」と独り言をいうシーンがあります。

 日本語版や台湾語などでは、ここでタイトルの「葬送のフリーレン」というタイトルが回収されています。

 しかし英語版ではタイトルが「Frieren :Beyond Journey’s End」となっているのに対して、「葬送のフリーレン」というセリフの訳は「Frieren the Slayer」となっています(※地域によって違う可能性があります)。

 そのため、英語圏ではタイトルの回収がなされていません。タイトルの英訳はとっても素敵なのですが、英語圏の方々にこのときの感動が同じように伝わらないのがちょっと残念に思います。

フリーレンの内面の変化

 ヒンメルの葬儀のとき、初めてフリーレンは涙を流しました。悲しむ様子の無いフリーレンに向けられた、人々の心無い言葉がきっかけでした。

 きっとフリーレンは、皆のように涙を流して悲しむことのない自分に罪悪感と自己嫌悪を覚えたのではないでしょうか。

 自分のなかにぼんやりとあるよく分からない感情はおそらく「悲しい」であることが想像できても、他の人々のように「悲しい」としっかり認識することができない。

 ヒンメルともう会えなくなって初めて気が付いた、ヒンメルについて「何も知らない」という事実。「何でもっと知ろうと思わなかったんだろう」という後悔の念。

 ハイターの死期が近くなったときにも、ハイターとの会話中にフリーレンは涙を流します。それを見たハイターは「あなたはやはり優しい子だ」と微笑みます。

 本来エルフは感情に乏しいとされていますが、これらのシーンは感情を涙として発露させるまでにフリーレンの心が人間らしく育っていた、と分かるシーンでもありました。

 作中のフリーレンは感情表現が豊かではないものの、時間の経過とともに微細な表情の変化が多くなり、「嬉しい」などの自分の気持ちも言葉でしっかりと表現している場面がみられます。

 いつかフリーレンが、「後悔」や「罪悪感」からではない涙を、ヒンメルの前で流すことが出来たらいいなと思います。

エピソードを時間軸で比較することで心の成長を描写

 ヒンメルの死後は「人間を知る旅」に出る決意をし、旅先で出会った人たちとも積極的に関わりを持つようにしたようです。

 単行本第12巻でのハイターとの会話から分かったこととして、「ハイターとヒンメルが同郷の幼馴染」という話を何度も聞いていたはずのフリーレンは、そのことを覚えていませんでした。当時はそれほど、人に対しての興味が無かったのだろうと思います。

 フェルンが「一人前の魔法使い」に早くなりたい理由を語ったときは、その気持ちと意思を尊重して見守りました。

 のちにやってくるフェルンの誕生日には、ひとりでこっそりプレゼントを選びに行っています。

 「新年祭」の「初日の出」を見に行かなかったことも、過去のフリーレンにとっては全く気にならないことでしたが、現代では当時のヒンメルたちの気持ちも理解できるようになっています。

 各種エピソードに伴う過去の回想と比較することで、ヒンメルたちと旅をしていた頃よりも「人を想う」気持ちが成長している、ということが読み取れます。

 エルフは感情に乏しいのではなく、心が成長するのに時間がかかるだけなのかもしれません。

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